愛人募集

ひどい女に引っかかった。愛人募集のサイトで見つけた女だったが、待ち合わせの場所に来るなり、金を要求した。
「お茶だけなら3、最後までなら5。お茶代、ホテル代そっちもち。どうする?」
どうする?て言われても。まだ会って5秒だぞ。いきなりその話かよ。
腹が立ったので、そのまま帰ろうと思ったが、彼女のギョッとするほどガリガリに痩せた体が気になって、とりあえず何か食べようと提案した。
「何食べたい? そっちに合わせるよ」
と、私は言った。彼女は困ったような顔をした。やせすぎで頬骨が浮き出ているのを長い髪で隠した。
「お腹はすいてないからいい」というのを無理やりファミレスに連れて行った。
「君さ、ちょっと痩せ過ぎじゃない? ちゃんと食ってる?」
ぶしつけだとは思ったが、つい聞いてしまった。

彼女は、不機嫌そうな顔をしてガタっと乱暴に立ち上がり「もういい。私帰る」と言い出した。
私は内ポケットから札入れを取り出し、テーブルの上に置いた。
「ちゃんと話を聞かせてよ。そしたら5万あげる」
彼女はポツリポツリと話出した。愛人募集のサイトに書き込みして、お金をもらって生活していること、母親と二人暮らしだったが、その母が死んで一人で生活していること、頼れる身内がいないこと。
「学校も出てないし、仕事もできないから愛人募集サイトで稼いでる」
「ちゃんと食べてるの?」と私は親か教師のような気持ちになって、つい聞いた。
彼女はあまりにも空腹に慣れすぎていて、もはや空腹を感じることがなくなったのだという。
「家賃と光熱費、借金返してたら、もうお金がないから愛人募集のサイトでお小遣いもらってなんとか。だけど、病的に痩せてるからみんな逃げてくようになって」
あぁ、だから会ったなりがっついたんだな、と理解した。
そのまま彼女に5万渡して、私は家に帰った。どうしても困ったら連絡して、とプライベートの携帯番号も渡しておいた。

ダディ
愛人契約